もしもしかめよ

研究・ドラッグデリバリーシステム・BUMP OF CHICKENをテーマに情報を発信していくブログ

遺伝子操作で人は若返ることができるのか?

遺伝子操作と若返り

こんばんは、けまりです。

先ほど研究室での実験が終わり帰ってきました。初めてポリマーの合成をしたのですが、慣れない操作ばかりで先輩が1時間足らずで終わらせられる合成実験(というか準備)を3時間以上かけてしまいました…一流研究者への道のりは長いですね。

 

そんなこんなで疲れた体を電車に乗っけてTwitterのTLを眺めていると、こんな記事が目に入りました。

若返り。人間の究極の目標の一つであると言えるのではないでしょうか。

とある遺伝子を人間の体に導入することで、この女性、エリザベス・パリッシュさんが"20歳若返った"という記事です。

僕はこの記事を読んで、本当に若返ったと言えるのか?と疑問を持ちました。そのことについて、この記事のポイントである「テロメア」という言葉を簡単に説明しながら、以下で簡単にまとめてみます。

テロメアとは?

そもそも、テロメアとはなんでしょう?

人間の体は細胞でできていて、基本的にその中には遺伝子を含むDNAという物質が含まれていることはみなさんご存知のことかと思います。そのDNAの末端にテロメアと呼ばれる部分があり、DNAを保護する役割を担っているのですが、実はこのテロメア細胞分裂とともに短くなっていってしまいます。そして、生きれば生きるほど細胞分裂の回数を重ねていきますので、テロメアがどんどん短くなっていってしまうのですね。テロメアはDNAを保護する役割を担っているわけですから、それが短くなることが老化を意味するのは容易に想像がつくかと思います。

さらに、人間の体細胞は一般的にこのテロメアを伸ばす「テロメラーゼ」という酵素を持っていません(ガン細胞や幹細胞は除きます)。ですので、基本的には細胞の老化を防ぐことは困難なんですね。

 

テロメアが長くなる = 若返る」?

さて、エリザベス・パリッシュさんは遺伝子治療を自らの体に行い、テロメラーゼを合成できる遺伝子を自らの体に導入してテロメアを長くし、その結果20歳若返ったと主張しているそうです(その倫理的問題といったことはここでは触れません)。しかし、果たしてテロメアを長くするだけで若返ることができたと言えるのでしょうか?

僕はテロメアが短くなっていく→老化」であることには異論はありませんし、確かにこのことから「テロメアが長くなる→若返る」と言えそうな気もしてきます。

しかし、僕はそうは思いません。

なぜなら、老化というものはテロメアの長さだけで決まる現象ではないからです。

人間は生きていく中でDNAになんらかの損傷を受け、それが年とともに蓄積されていき、それによってガンといった病気になったりします。つまり、テロメア以外にも生きていく中で影響を受ける部位はたくさんあるわけです。

そして、そこから僕が一番言いたいことは、ういった影響を(ほぼ)全て過去の状態に戻してはじめて「若返った」と言えるのではないか、ということです。

ですから、テロメアを伸ばしただけでは単に細胞が長生きできる可能性を大きくしただけにすぎず、若返りという表現は誇張表現であるどころか誤解を招く表現だな、と思うわけです。個人的には、「若返り」という表現よりは「寿命が伸びた」の方がまだ正確だと思います(確かに記事の中ではそういう表現もしています。ただ、実際DNAの損傷をそのままにテロメアを伸ばしてるわけですから、細胞が長生きできたところでガン化する可能性も大きく、長生きできるのかすら危うい気もしますが…。)

まとめ

結局僕が言いたかったのは、テロメアを伸ばしたからといって若返ったとは言えないということです。ただそれだけです。長文読んでいただきありがとうございました。記事を見つけて帰ってきてザッと更新してるので、議論が甘々なのは大目にみてやってください。

 

けまり

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