もしもしかめよ

研究・ドラッグデリバリーシステム・BUMP OF CHICKENをテーマに情報を発信していくブログ

academistシンポジウムvol. 1 ~科学研究とおカネについて考えよう~ に行ってきた

academistシンポジウムに参加してきました

 昨日9月3日に学術系クラウドファンディングacademistが主催するシンポジウムに行ってきました。記念すべき第1回目となる今回は、「科学研究とおカネ」をテーマとして、academistを利用して研究費を獲得したり独自の方法で研究費を集めたりする研究者を中心に科研費や民間助成金についての話が繰り広げられました。僕はacademistの関係者でもなんでもなくただの一参加者ですが、昨日勉強になったことを整理する意味も込めて、自分の考えることも交えながら昨日のことを振り返りたいなと思います。

 

 第1部は登壇者4名の研究紹介などのプレゼン・パネルディスカッションが行われました。今回登壇された研究者は次の方々。

京都大学白眉センター 特定准教授 榎戸輝揚さん

 榎戸さんはもともと宇宙X線による中性子星の観測を主に行う研究者。宇宙から地球に降りそそぐ宇宙線が雷が起きるトリガーになっているのではないか、ということを検証するためにacademistを通じてクラウドファンディングに挑戦することにしました。2ヶ月で100万円を目標としていたのですが、蓋を開けてみると目標金額を大きく超える160万円が集まったとのことです。すごい…!!

 榎戸さんはそのお金で観測装置を作り、高校の屋上を借りたり環境の影響を受けにくい高山で観測を行いました。なかなか雷雨がこなくて観測が困難だったものの、実際に宇宙線と思しきものを観測できたようです。来年度は科研費を用いて全国各地でより大規模な観測を行うとのことでした。さらなる研究の結果が楽しみです。

 クラウドファンディングで得た資金で活動する中で、オープンサイエンスの流れを実感したという榎戸さん。研究者や大学院生・高校教諭や学生・市民サポーター・ベンチャー企業などが共同になるという民間ベースの研究が進み始めています。その4つのグループに共通する好奇心がそういう流れを生み出している、とのお話がありました。その話を聞いて僕は、科学を推し進める根元にあるのが好奇心であるということを改めて実感し、研究を進めていく上で僕も忘れないようにしようと思いました。

茨城大学理学部 助教授 岡崎政典さん

 テヅルモヅルの分類学的研究をテーマに、academistで始めてクラウドファンディングに挑戦した研究者です。テヅルモヅルというのは以下のような生き物で、クモヒトデという生き物に属するらしいです。(画像はwikipediaより)

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テヅルモヅルがどのような生き物かということを知って帰ってほしいとのことだったので、忘れないようにまとめておきます!

  • テヅルモヅルは棘皮動物(門)に属する動物。
  • 棘皮動物はいろんなグループ(綱)に分類されていて、ヒトデやナマコ、ヒトデ、ウニ、クモヒトデなどに分かれている。
  • いずれも星型の構造を持っている。ナマコは垂直に切った時の断面が、ウニは水平に切った時の断面が星型になっている。
  • テヅルモヅルはヒトデではなくクモヒトデの仲間。ヒトデとクモヒトデの違いは、裏返したときに腕に溝があるかどうか。あるのはヒトデ、ないのがクモヒトデ
  • テヅルモヅルはクモヒトデの中でも腕が分岐した構造をしている。

 らしいです。みなさん覚えてくださいね!

総合研究大学院大学学融合推進センター 助教授 塚原直樹さん

 塚原さんはカラスの行動を制御する研究・捕獲された有害ガラスを食資源化しようという研究を行っています。カラスを食べるという発想が斬新!academistでは、最近話題のドローンを使って人とコミュニケーションをとるという研究者と共同研究を組み、「カラスと対話するドローンを作製する」というテーマでクラウドファンディングに挑戦しました。現在はリターンとして「カラスと空中遊泳している動画」を撮影中とのこと。まだカラスとの遊泳はうまくいってないがトンビとの遊泳は成功しているらしいです。

 そして、カラスを食資源化するという研究の一環として、参加者に実際にカラス肉の燻製を食べてもらうというイベントもありました。実際のカラス肉がこちら↓f:id:bsrk31:20160904171956j:image

僕も実際に食べてみました。この一切れでだいたい500円するというから驚き。鶏肉よりも弾力があり思っていたよりも臭みがなく、結構美味しかったです。鉄分とタウリンが豊富で健康食という一面があるとのこと。言われてみれば、確かに赤みがかっているのとその食感は確かにレバーに似ていました。少し余っているとのことだったので僕はおかわりして二切れいただきました笑

慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任講師 堀川大樹さん(クマムシ博士)

 みなさんご存知クマムシ博士。クマムシとは、体長1 mmにも満たない小さな生き物で、乾燥・超低温・高圧・放射線にも耐えることができるかなり丈夫な生き物です。堀川さんははそんなクマムシを研究するために、アカデミックキャリアパスから降りて独自の方法でお金を稼ぎ、研究を行っています。

 堀川さんがアカデミックキャリアパスから降りた理由として、以下の5つを挙げていました。

  • 競争したくない。
  • 論文書きたくない。
  • 足元見られたくない。
  • 依存したくない。
  • 自由になりたい。

アカデミアの世界にいると、確かに常にこれらの環境にいることになります。倍率のかなり高い科研費争い(競争)のためにひたすら論文を書かなければいけない。研究にかかる費用は莫大なため、研究するためには国の(国民の)税金に頼らざるをえない。その上アカデミックポストにつけるのはごく一部の人なのでそういう弱みにつけこまれることもある。そういうこと諸々から自由になりたい、とのことでした。

 そんな中で、アカデミアに少しずつ頼りながら、ブログ・有料メルマガ・オンラインサロンで資金稼ぎと同時に情報発信をし続けたり、「クマムシさん」のデザイン・グッズ販売で資金稼ぎ・科学の啓蒙活動をされてきました。オープンサイエンスとして実際に一般の人たちと研究活動を行うことで様々な人とのつながりができて、新たな知見が広がったりするところに面白さがあるとのことで、そういった活動の中で「お金よりも大切なことがある」という気づきがあったそうです。

 個人的に、コスパが悪い」と言われる研究の世界で生きていく中でどういう風にお金を稼ぐかという点で堀川さんの話はとても勉強になりました。お金になりそうもない研究をどうやってお金に結びつけるか。それはもちろん生活のため、研究推進のため両方あると思いますが、そこを早いうちから行動してきた堀川さんはとても賢い方だなと思いました。とてもかっこよかったです。

 

 第一部の前半2時間はこのような形でしめられました(実際カラス肉を食べたのは4名のプレゼンが終わったあとでしたが)。後半は同じ方々によるパネルディスカッションが行われたのですが、それについては後日まとめようと思います。

 

けまり

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